静御前 源義経の愛妾!しづやしづの舞を披露した白拍子
先日、源義経の正室である郷御前(「鎌倉殿の13人」では里)を取り上げましたので、もう一人の妻である静御前を紹介していきますね。
静御前は、義経同様にとても人気の高い人物です。そして、ドラえもんのしずかちゃん!(しずかちゃんの名前が源静香なのは偶然?)
静御前については、義経との悲恋や頼朝の逆鱗に触れた義経を慕う舞「しづやしづ~」が有名です。また、鎌倉から京に戻ったあとの消息が不明で彼女がその後どうなったのか様々な伝承が残されています。
静御前 源義経の愛妾
静御前が登場するのは、「吾妻鏡」という歴史書だけになります。
はじめて「吾妻鏡」に静御前が登場する場面は、都落ちしていた源義経が九州行きの船に乗っている時です。その時、義経とともにしていたのが静御前と弁慶、源有綱、堀景光だけでした。義経には他にも妾がいたのに静御前だけを同行させた背景をみてもどれだけ寵愛深かったのか分かりますね。
その後の「吾妻鏡」での静御前は、九州には嵐で行けずに吉野山に逃げていました。しかし、途中で義経とはぐれてしまい、共をしていた者が義経が与えてくれた金品を奪い静御前だけを置いて去ってしまいました。
静御前は、吉野山でさまよっていたところを捕らえられて、京都守護をしていた北条時政のもとに引き渡されてしまいます。
そして、静御前は母の磯禅師と一緒に鎌倉へと連行されていきました。
鎌倉での静御前は、義経の行方を尋問されたり舞を披露するように命じられます。病気で舞う事は出来ないと断ったりしましたが、北条政子が天下の舞の名手を前にしてその芸を見ないのは残念だと頼朝に大いに勧めます。
この場面でようやく静御前が都で随一の白拍子だという事が分かります。
そして、いよいよ断り切れなくなった静御前は鶴岡八幡宮の社前で舞を披露する事になります。
静御前 しずやしづの舞を披露する
白拍子の静御前が、北条政子や源頼朝たちを前にして披露した舞が、以下の二つです。
しづやしづ しづのをだまき くり返し 昔を今に なすよしもがな
※しずの布を織る麻糸をまるく巻いた苧だまきから糸が繰り出されるように、たえず繰り返しつつ、どうか昔を今にする方法があったなら
吉野山 峰の白雪 ふみわけて 入りにし人の 跡ぞ恋しき
※吉野山の峰の白雪を踏み分けて姿を隠していったあの人(源義経)のあとが恋しい
どちらも源義経を慕う歌でしたので、当然、源頼朝は激怒します。しかし、北条政子が静御前を庇ったことで事なきを得ました。
静御前も下手をすると処刑されるかもしれないのに堂々と義経を慕う舞を披露したことで度胸がありますが、北条政子も嫉妬深い一面がありますが、大姫の事と言い人情のある人だと思いました。
静御前 義経との子供は男
静御前は、鎌倉に入ったとき源義経の子を妊娠していました。そして、出産するまで鎌倉に留め置かれる事になりました。
「吾妻鏡」の描写によると、鎌倉で御家人たちが静御前の宿舎に集まり宴会を催したりしたようです。確かに天下の名手の舞を見ながらお酒を飲んでみたいと思うのでしょうが、いい迷惑ですよね。
その時は母の磯禅師が舞を披露したようですが、梶原景茂(梶原景時の子)が静御前に言い寄ったようでこっぴどくフラれています。
その後、静御前は出産します。
生まれた子供が女子なら命を助けるが、男子なら将来の禍根を残さないために命を奪うと決まっていました。残念ながら静御前の産んだ子供は男子でした。
静御前は、赤子を離さず泣き叫んで拒否しましたが使いの者の厳しい催促に母の磯禅師が折れて結局、赤子は取り上げられて由比ヶ浜に捨てられてしまいました。
この時も北条政子は頼朝に赤子の助命を嘆願しましたが、叶わなかったそうです。政子と大姫は、静御前をとても不憫に思い沢山の財宝を与えて京に帰したと伝わります。
静御前の最期とは?
静御前のその後は「吾妻鏡」にも記録がありません。ただ、義経と同じように全国各地で静御前に関する伝承が残っています。
沢山ある伝承の中でも割と多いのが静御前は若くして亡くなったというものです。これは義経も若くして亡くなっているのが影響しているのでしょうかね?奥州にいる義経を追っていくうちに病になったとか義経の訃報を聞いたとか色々あります。
静御前はその後どのような生涯を送ったのか?最期はどこで亡くなったのか?とても気になりますね。
最後に静御前は現代でも凄く人気のある歴史上の人物ですので、映画やドラマ、小説にもヒロインとしてたくさん登場しています。
静御前を演じた女優さんも「鎌倉殿の13人」では石橋静河でしたが、2005年の大河ドラマ「義経」では石原さとみが演じました。静御前は、女優さんが演じてみたい役柄の一つではないでしょうか?
義経と静御前・二人の「その後」 各地に残された生存伝説は何を語るのか
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