お田鶴の方 夫の後を継いで曳馬城の女城主となる!椿姫観音菩薩
大河ドラマ「どうする家康」から久しぶりに女性の登場人物を紹介していきたいと思います。今回は、悲劇の女性であるお田鶴の方です。ちなみにお田鶴の方の読み方ですが、「おたづのかた」になります。
「どうする家康」では、関水渚が演じていますが、過去の大河ドラマ上でお田鶴の方が登場する事は稀です。
ただ、40年前の大河ドラマ「徳川家康」では、竹下景子が演じていました。この時の役名は、お田鶴の方ではなく吉良御前(幼名は亀姫)という名でした。竹千代(徳川家康)の初恋の相手という設定になっており、その死がより一層悲劇的に描かれていましたね。
お田鶴の方とは?
お田鶴の方は、今川家の重臣であった鵜殿長持を父に持ち三河国宝飯郡上ノ郷(現在の愛知県蒲郡市神ノ郷町)で誕生しました。母は、今川義元の妹でした。
今川義元とお田鶴の方は叔父と姪の関係にあたり、数少ない血縁者になりますね。又、徳川家康の正室であった瀬名(築山殿)のいとこにあたるようです。
お田鶴の方の生誕年ですが、はっきりせず天文年間(1532~55年)のいずれかと伝わります。有力なのは、天文19年(1550年)説です。
お田鶴の方は、夫の死後に城を守りながら勇敢に戦ったことから「女武者」や「烈女」として人気があります。
お田鶴の方と飯尾連龍の結婚
生粋のお姫さまとして育ったお田鶴の方は、亀姫や椿姫という名でも知られています。戦国の世に生まれた姫は、10歳前後の若さで、遠江国曳馬(現在の静岡県浜松市)の城主であった今川家の家臣・飯尾連龍と政略結婚させられます。
しかし、結婚生活は長く続かず1565年に夫の飯尾連龍が謀反の疑いをかけられて殺害されてしまいました。その謀反というのが、夫・飯尾連龍が徳川家康と内通して今川氏真を裏切ったからでした。
その後、夫の跡を継いでお田鶴の方が曳馬城の女城主となりました。
お田鶴の方 曳馬城の女城主として
お田鶴の方が夫から引き継いだ遠江国の曳馬城は、戦国武将達が遠江支配の拠点にしていた重要な城でした。
かつて駿河国の守護であった今川氏は遠江に侵攻して、遠江国守護であった斯波氏と戦って城を落としました。今川氏は遠江を支配下に置き、重臣であった飯尾氏が数代に渡って曳馬城の城主を務めていたのです。
桶狭間の戦い後に曳馬城を落とすことができなかった今川方は、飯尾連龍と和睦して一旦は退きます。しかし、飯尾連龍に対する疑念を拭えなかった今川氏真は、駿府に連龍を呼び寄せて謀殺したのでした。
夫が亡くなりお田鶴の方が曳馬城を守っていく事になるのですが、やはり最重要拠点となる城なので、結局は永禄11年に徳川家康によって曳馬城は攻め込まれてしまいます。
この時、城を明け渡して降伏すれば一族の安全を保障すると言われたものの、女城主として城を守っていたお田鶴の方は応じませんでした。300名あまりの兵を従えたお田鶴の方は、立派に指揮をとり激戦を繰り広げました。お田鶴の方自身も緋色の鎧をまとい、長刀を手にして長髪を乱して勇敢に戦ったと伝わります。
お田鶴の方の最期とは?
お田鶴の方は、永禄11年(1568年)12月に徳川家康による好条件を蹴って城と共に討ち死にしました。
徳川方は何度も使者を送りますが、お田鶴の方は拒絶し続けたとされます。徳川家康は城を攻め、お田鶴の方は籠城しますが数日後に落城します。
お田鶴の方と家康の正室だった築山殿は、母親同士が義理の姉妹だった事から親しくしていたと伝わります。そのためお田鶴の方の最期を哀れんで、侍女と共に葬られた場所に沢山の椿を植えて供養しています。それが、椿塚(浜松市元浜町)と呼ばれ、後に「椿姫」の由来になりました。
勇敢に戦い若くして亡くなった女城主は、今でも椿姫観音菩薩として祀られています。毎年秋になると追悼供養が行われています。
そして、曳馬城は後に浜松城として名を変えるのです。
関連記事
-
-
石川数正の出奔の原因となる説とは?長野県・松本城の築城について
2023年の大河ドラマ「どうする家康」で、俳優の松重豊が演じている石川数正にスポットを当てたいと思い
-
-
源範頼 源頼朝の弟で源義経と比較されて凡将?最期は謀反・・・
源平合戦の最終章・・・源義経がついに平氏を追い詰めていくストーリーを大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では
-
-
清少納言と紫式部は犬猿の仲!?2度の結婚と藤原定子への宮仕え
紫式部のライバルとして名高い清少納言を取り上げます。 大河ドラマを観てから教科書にも載っていた
-
-
井伊直政 徳川家康の寵臣で有名なイケメン武将!井伊直虎に育てられる
大河ドラマの登場人物ですが、今回は徳川家康の寵臣でありイケメンで知られた井伊直政を取り上げていきたい
-
-
九条完子(豊臣完子)について
九条完子(豊臣完子)について。 大河ドラマ「江」の登場人物紹介・・・久々です。 今回、取り上
-
-
土岐頼芸 鷹の絵を得意とする美濃の守護大名で斎藤道三に追放される
大河ドラマ「麒麟がくる」で、尾美としのりが演じていた土岐頼芸を取り上げます。 今年の大河ドラマ
-
-
静御前 源義経の愛妾!しづやしづの舞を披露した白拍子
先日、源義経の正室である郷御前(「鎌倉殿の13人」では里)を取り上げましたので、もう一人の妻である静
-
-
以仁王 木村昴が演じる後白河法皇の第三皇子!源氏に平氏打倒の令旨を促す
「ドラえもん」のジャイアン声優でおなじみの木村昴が、初の大河ドラマ出演で話題になりました。木村昴の「
-
-
渋沢市郎右衛門 渋沢栄一の父の生涯について!実はお婿さん
渋沢栄一の父である渋沢市郎右衛門を取り上げたいと思います。 大河ドラマ「青天を衝け」では、小林