藤原惟規 紫式部の弟は出来が悪い?紫式部日記から分かる姉弟の仲とは
紫式部の弟とされる藤原惟規(ふじわらののぶのり/これのぶ)を取り上げます。まだ、ドラマでは子供時代なので「太郎」と呼ばれていますね。
できる姉を持った藤原惟規なので何かと比較されるだろうなと思っていましたが、史実でもやっぱり比較されていました(汗)
ただ、全く何も出来ない人物ではなくて姉のような天才型ではなく、「今昔物語集」に和歌を残していた優れた歌人でした。惟規に関するエピソードを紹介していきますね。
藤原惟規 紫式部の弟説と兄説がある
藤原惟規は、藤原為時の長男として974年頃に誕生しました。母は、藤原為信の娘ですが、惟規が生まれてすぐに亡くなったと伝わります。惟規には同母姉が二人いてその内の一人が紫式部です。
惟規が紫式部の弟でなくて兄だという説もあるようです。しかし、「紫式部日記」や惟規に関するエピソードを読むと惟規は紫式部の弟とみるのが自然かなぁと思います。
気になるのが兄弟仲ですが・・・
「紫式部日記」には、紫式部と惟規の仲の良い様子が描かれているとの事でした。兄弟の中で比較されても意固地にならないのは姉と弟の関係かなぁと感じます。比較相手が妹や弟、もしくは兄だったら嫌だと思うかも!?(思いっきり偏見ですが・・・)
藤原惟規 紫式部と比較される
藤原惟規と紫式部の幼い頃のエピソードを一つ紹介しますね。惟規にとっては有り難くない話であります。
父の藤原為時が惟規に漢籍を教えていました。惟規は覚えが悪くなかなか上手に読むことが出来ずにいました。一方、それを傍で聞いていた姉の紫式部は、その漢籍をしっかりと暗誦してみせたのです。
父の為時は、「この子(紫式部)が男でなかったのが悔しくて残念だ」と嘆いたそうです。
このエピソードは、ドラマの場面にも出てきましたよね。紫式部がいかに天才かというのをアピールする場面でもありました。一方、比較されてしまった惟規の立場は・・・。
このようなエピソードから藤原惟規は、できない男のレッテルを貼られそうですが、決してできない男ではないのです。
藤原惟規 歌人としての才能
藤原惟規は、当時の貴族としては順調に出世していきました。文章生から少内記を務めて兵部丞と式部丞、そして六位蔵人を兼任しました。
また、惟規は歌人としても優れた和歌を残しています。「今昔物語集」の「藤原惟規和歌読被免語第五十七」には恋人を想って詠んだ歌があるようです。
藤原惟規には、斎院中将(斎院となっていた村上天皇皇女・選子内親王に仕える女房)という恋人がいて、彼女のもとに通っていた時に読んだ歌や斎院中将からの返歌が収められています。
また、ある時に惟規が名前を名乗らないで斎院中将のもとに通ったため警護に門を閉められるトラブルに遭遇しました。その時、斎院が助け舟を出してくれた歌もあります。
「かみがきは きのまろどのにあらねども なのりをせねば 人とがめけり」
(訳:斎院の住まいの神垣は、天智天皇の木の丸殿ではないはず。名乗らなかったので人に咎められてしまった)
その他、惟規が臨終の間際に詠んだ辞世の歌も斎院中将あてのものでした。これだけ想った相手でしたが、惟規には別に妻子がいたのです。妻は、藤原貞仲の娘で男子をもうけています。斎院中将は惟規の晩年の恋人だった可能性が高いですね。
藤原惟規の最期
藤原惟規は、1011年に亡くなったとされています。享年37歳ぐらい?
父の為時が越後守になったので惟規も越後国に一緒に着いて行くことになりました。しかし、道中で病気になり越後に着くと同時に亡くなってしまったようです。
その時に詠んだのが斎院中将への辞世の句になります。
「みやこにも わびしき人のあまたあれば なほこのたびは いかむとぞおもふ」
(訳:都に恋しい人がたくさんいるので生きて帰りたいと思ってます)
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