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牧の方 りくという名前で登場する北条時政の後妻

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」ですが、今回登場する人物は宮沢りえが演じている北条時政の後妻りく になります。

りくという名前は「鎌倉殿の13人」だけで使われている?通常は、牧の方(まきのかた)と呼ばれていますね。牧というのは名字なので本当の名前が気になります。

牧の方は、歴史中の大きな事件(?)のきっかけを二つ起こしています。「亀の前事件」と「牧氏の変」です。この話を中心に紹介していきますね。

牧の方 北条時政の後妻となる

牧の方は、牧宗親の娘もしくは妹とされていて、のちに年の離れた北条時政の後妻として嫁ぎます。当然、北条政子や北条義時とは血がつながっていません。二人とは歳の近い義理の親子という関係でしょうか?

そして、牧の方と北条時政はとても夫婦仲が良かったと伝わります。ドラマでは北条時政が牧の方にぞっこん(古い!)でしたが、確かに年の離れたお嫁さんは目に入れても痛くないと感じるのかもしれません。

牧の方と北条時政の間にできた子供は7人います。ただし男子は一人で、長男の北条政範は16歳という若さで病死しています。恐らく北条政範が早死していなかったら北条時政の後継者になっていた事でしょう。その時は北条政子・義時との対立はもっと凄かったかもしれませんね。

でも長男の北条政範が亡くなったことで、牧の方は娘婿に期待するようになって大きな事件へと発展していくのでした。

亀の前事件 牧の方が北条政子に告げ口

牧の方が、娘婿に期待して大きな事件に発展するいわゆる「牧氏の変」の話をする前に時系列的にもう一つの事件の方を先に紹介しておきますね。

北条政子が、源頼家を妊娠している時に夫の妾、亀の前の屋敷を破壊した事件(亀の前事件)というのがありました。

これは、源頼朝が浮気しているという事を直接、牧の方が政子に告げ口をしたのがきっかけでした。浮気の事実を知った政子は大激怒します。そして、浮気相手の亀の前の屋敷を牧の方の身内である牧宗親に壊させます。

亀の前は何とか逃げて無事でしたが、今度は頼朝が激怒します。しかし、頼朝は政子が怖いせいか怒りの矛先を牧宗親に向けます。牧宗親は(貴族にとって大切な)髻を切られて(多分)泣きながら逃亡したと伝わります。

頼朝の仕打ちに北条時政と牧の方は激怒してしばらく自分達から伊豆国に退く事になりました。

牧氏の変 娘婿の平賀朝雅を鎌倉殿にしたい

さて、先述の通り牧の方は長男の北条政範を16歳で亡くしています。この息子にかける愛情は相当なものだったと思います。

そして、政範が死んだことで今度は娘婿に期待をかけることになります。ちなみに娘たちはそれぞれ平賀朝雅、稲毛重成、宇都宮頼綱、坊門忠清などに嫁いでいます。

牧氏の変(1205年7月)が起きる1か月前に畠山重忠の乱がおきます。

畠山重忠の乱は、牧の方の娘婿・平賀朝雅の屋敷で、酒宴が催されていた時に朝雅と畠山重忠の息子・重保が言い争いをした事がきっかけです。その時は周囲のとりなしがあり言い争いは収まりましたが、後からこの事が牧の方の耳に入ります。

牧の方はこの言い争いの内容に恨みを持ったらしく夫の時政にまたもや告げ口をします。時政は畠山氏を排斥しようとしますが、息子の北条義時は人望もあり仲が良かった重忠を討つのに躊躇します。しかし、父の命に背くことは出来ずに結局、畠山重忠を討ちました。そして、牧氏の変へと続いていきます。

畠山重忠の乱の1か月後に今度は北条時政と牧の方が鎌倉将軍の源実朝を殺害して娘婿の平賀朝雅を新しい将軍に擁立しようと企てます。ただし、源実朝は時政にとって孫にあたるのでこの企ては消極的だったと伝わります。牧の方に言われるまま?

しかし、さすがに北条政子・義時は今度は黙っていられないでしょう。時政と牧の方の企ては失敗に終わり伊豆国に流されてしまいました。そして、平賀朝雅は捕らえられて殺害されてしまいます。

その後、北条時政は鎌倉に戻ることもなくひっそりと伊豆で余生を過ごしました。牧の方は、時政の死後、京にいた娘を頼り贅沢に過ごしたそうです。

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