渋沢市郎右衛門 渋沢栄一の父の生涯について!実はお婿さん
渋沢栄一の父である渋沢市郎右衛門を取り上げたいと思います。
大河ドラマ「青天を衝け」では、小林薫さんが演じている役です。藍玉づくりの名手で息子・栄一に多大な影響を与えたと言われる渋沢市郎右衛門とは一体どんな人物だったのでしょうか?
渋沢市郎右衛門の生涯を簡単にまとめてみました。
渋沢市郎右衛門の生涯
渋沢市郎右衛門は、もともと渋沢家の「東の家」と呼ばれる分家生まれの出身でした。本家にあたる「中の家」は、跡取り息子がいないため白羽の矢が立ったのが市郎右衛門でした。市郎右衛門は、婿として「中の家」の娘・えいと結婚します。
ちなみに市郎右衛門という名前は、「中の家」の家督を相続したものが代々名乗っていた名前だそうで、栄一の父も結婚した際に改名しました。結婚する前は、元助という名前でした。
市郎右衛門が婿入りした際、本家の「中の家」はかなり衰退していたそうです。一方、生家の「東の家」は裕福だったようです。
市郎右衛門の代になりようやく家業が安定して「東の家」に追いつくまでに成長していきます。
市郎右衛門の家業は、藍玉づくりや養蚕や農家などを兼業する豪農だったわけですが、子供達の教育や教養、そして剣術にも熱心でした。
栄一が偉業を達成したその背景には父の影響が大きいことが分かりますね。やはり小さい頃から学びの機会を与えられるのは恵まれていると思います。
家業の方もただの藍生産だけをする農家だったわけではなく仕入れから販売までをすべてこなしていたというから凄いですよね。さすが、栄一の父です!
渋沢市郎右衛門と息子・渋沢栄一の関係
渋沢市郎右衛門は、息子の栄一に幼い頃から漢文を教えていたと伝わります。そして、ある程度教えたあとは、さらに学問に秀でていた尾高惇忠に栄一の教育を任せます。
栄一は、成長すると家業の方も手伝うようになり思わぬ才覚を発揮します。しかし、跡取り息子の将来性に安堵していた矢先、息子はあらぬ方向に傾倒していきます。
栄一が江戸に遊学したことをきっかけにして尊王攘夷に目覚めてしまったのです。目覚めるだけで終わればよかったのですが、何と挙兵を企てようとしました。
一応、挙兵だけはしなかった栄一ですが、このことで市郎右衛門と栄一は対立を深めてしまいます。栄一は、自分を勘当してくれと頼みこみますが、市郎右衛門はこれを拒否します。そして、逆に100両を栄一に渡しました。
渋沢栄一は、この時のことを後に自伝で語っていて父を苦しめたことを後悔していると綴っています。
栄一は、その後、徳川慶喜に仕えることになり幕臣になるわけですが、尊王攘夷が実現してしまい朝敵となったため血洗島村には戻れなくなってしまいました。結局は、市郎右衛門も栄一も望まぬまま上からの沙汰で除籍されてしまったわけですね。
明治維新後しばらくしてから栄一がようやく生まれ故郷の血洗島村に帰ることが出来ました。その時にやっと父子が再会できました。
栄一は、元主君の徳川慶喜がいた静岡で頭角をあらわすと明治政府から取り立てられます。明治政府でも民部省・大蔵省の主要ポストに就いて活躍すると市郎右衛門は相当、喜んだと言われています。息子のことを「殿」と呼び、息子の嫁のことを「奥様」と呼んだそうです。
渋沢市郎右衛門は、明治4年11月に63才で亡くなりました。最期の最期まで息子・栄一に家督を継がせたいと思っていたそうです。
渋沢市郎右衛門の語録集として「晩香遺薫」が出版されています。
関連記事
-
-
於大の方 徳川家康の母で実子に対しては非常に愛情深い女性
大河ドラマ「麒麟がくる」の登場人物を紹介しております。 今回は、竹千代(後の徳川家康)の生母で
-
-
北条時房 北条政子・義時の異母弟で鎌倉幕府の初代連署を務める
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の登場人物、最近は13人の御家人を紹介してきましたが、それ以外の人物・・
-
-
穴山梅雪の最期が悲惨?正室の見性院は徳川家康の庇護を受け長生きする
まだ、続いてます~大河ドラマ「どうする家康」の登場人物紹介!武田家の家臣・穴山梅雪(穴山信君)を取り
-
-
藤原璋子VS藤原得子
大河ドラマ「平清盛」第5回まで放送されました。 個人的な第5回の見所は、藤原璋子(待賢門院)と鳥羽
-
-
明智光秀 本能寺の変
明智光秀 本能寺の変 今回、取り上げるのは明智光秀です。 主君、織田信長を裏切り本能寺の変で自害
-
-
藤原道兼 七日関白と呼ばれた藤原道長の兄!大河ドラマ「光る君へ」の悪役
NHK大河ドラマ「光る君へ」の初回放送で、ある意味強烈なインパクトを残した藤原道兼(ふじわらのみちか
-
-
妻木熙子 明智光秀の正室で細川ガラシャの母
2020年の大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公、明智光秀の正室であり娘があの細川ガラシャである妻木熙子
-
-
鵜殿長照 大高城での籠城戦を経て上ノ郷城で討ち死にする戦国武将
珍しく本日、2回目の更新になります。 2023年の大河ドラマ「どうする家康」に登場する歴史上の